こんばんは、宮之川原校の家元です。
前回は子どもの間違いを指摘するタイミングのお話をしました。
今回はそれに関連して、「教えすぎること」について書いてみようと思います。
結論を先に言いますと、「教えすぎること」は子どもの成績が上がらない大きな原因になります。
数年前の秋ごろ、Dさんという中学2年生の女子生徒が入塾してきました。
Dさんは数学の定期テストは80点以上取れているものの、応用問題が苦手でした。
私との1番最初の授業。
基本問題はスラスラ解けるのですが、応用問題になると、まったくペンが進みません。
「Dさん、これまで応用問題がわからないときって、どんな感じで勉強してた?」
「先生が説明してくれた」
「その説明はわかりやすかった?」
「わかりやすかった」
Dさんの話を聞きながら、私は自分が家庭教師をしていた頃を思い出しました。
中学生のEくんの授業。
「わからへん」
「ここをこうしてな、こういうふうに補助線を引いてな」
「あ、そっか!」
「わかった?」
「うん、解けそうな気がしてきた」
「そう?でもここからも、まだ難しいポイントがあるねんで」
「え?どんな」
「ここ見てみ。この角度がわかってないねん」
「ほんまや。じゃあどうやって解くの?」
「それはな・・・」
私は、「わからへん」というEくんのことばをきっかけに、
次々にその問題のポイントを解説し、流れるような説明で正解にたどり着きました。
Eくんに「おお、先生、すげー!」という褒めことばまでもらって。
はい、当然ですが、Eくんの成績は上がりませんでした。
こんな指導で成績が上がるのは、一部の優秀な高校生だけです(しかもそれは講師の力ではありません)。
これで中学生が、問題を解けるようになるわけがありません。
子どもの成績を上げるためには、手を引いて目的地まで連れて行ってあげてはいけません。
地図を与えて、地図の読み方を教えてあげれば、子どもは勝手に目的地に行きます。
その行き方が不味ければ、あとから「こう行った方が楽だよ」と伝えればいいのです。
お子様に勉強を教えなければならない保護者の方へ、僭越ながら一つ「教えるコツ」を。
お父様お母様が連続してしゃべる時間は1分以内を心掛けてください。
2分3分連続してしゃべると、子どもには何も伝わらなくなります。
残るのは教える側の「教えてあげた」という満足感だけです。
1分しゃべったら、3分考えさせます。
また1分しゃべって、3分考えさせます。
この繰り返しで、教えてあげてください。
そして、どうしても伝えたいことがあったら、それは子どもが問題を解き終わった後にしてください。
先に教えてしまうと、家庭教師時代の私になります。
Eくん、本当にごめんね(Eくんはとても優秀だったのでなんとか希望の高校に入ってくれました)。
「じゃあDさん、この応用問題を解くために、先にこの問題を解いてみて」
「え?教えてくれへんの?」
「いいからいいから。2分で解いて!」
2分後
「解けました」
「おっ、正解!じゃあ、さっきの応用問題、もう一度考えてみて」
「・・・あっ!」
もちろん、いつでもこんなにうまくいくわけではないですが(笑
その後のDさん。
「あのね、Dさん、ちょっといい?」
「もうちょっと考えさせて!」
「はい、ごめん」
Dさんは苦手の応用問題も楽しんで解くようになりました。
必要以上に教えることなく生徒の成績を上げる。
そういう講師になりたいです。
さて、あと数日で大阪府の私立高校入試。次回はそのあたりのお話を書きたいと思います。
今回もお読みくださってありがとうございました。