教員採用時に7割データベース未活用 教員による性暴力防止法に違反
(朝日聞12月22日)
〇子どもへの性暴力を防ぐため、教員採用時に法律で義務づけられている対応を、
学校法人や教育委員会などの7割近くが怠っていたことが明らかになった。
文部科学省が初めて全国的に調査し、22日に公表した。
〇ほぼ全ての団体が今後適切な対応を約束しているとして、文科省は個別の改善状況は確認しない意向。
罰則もなく、全団体で適切な対応がとられるかは不透明だ。
〇教員による性暴力防止法では、過去に子どもへの性暴力を理由に教員免許を失効した人をデータベース(DB)に登録。
2023年度から教員採用時にDBを活用することを義務づけた。
DBに記載のある人は原則採用されない仕組みだ。
〇調査は、今夏に私立の学校や幼稚園の運営法人の75%でDBを活用していない実態が明らかになったことを受けて実施したもの。
8~12月に行い、教育委員会や学校法人など、国公私立の幼稚園や小中高などの教員を採用する1万1981団体から回答を得た。
回答拒否や反応なしで未回答も97団体あり、いずれも大阪府と福岡県の法人だった。
〇調査結果によると、23年度以降に教員を採用した団体のうち、8月時点でDBの登録すらしていない団体が42.7%だった。
理由は、アカウントの有効期限切れ(毎年度手続きが必要)▽DBの存在を知らない▽同種のシステムの活用で代替など、基本的な認識不足が多かった。
〇また、適切に活用していない団体は69.4%に上った。
理由の多くは、国公私立全てや非常勤も含むなど、対象を正しく認識していなかったため。
規模の小さい法人や市町村が多いという。
設置する学校種別で見ると、活用率は幼稚園が23%、幼保連携型認定こども園が27%と低く、小学校も56%だった。
〇一方で、活用により採用候補者がDBに載っていたことがあると答えた団体が34あり、実際に40人が採用に至らなかった。
〇文科省の担当者は「児童生徒への性暴力の未然防止にデータベースの活用は極めて重要。
結果は遺憾だが、何度も言うことで改善する部分はあると思う。
法律の義務をしっかり果たしてほしい」と話した。
〇今後、登録・活用の手順を説明した動画やわかりやすいマニュアルを作り、周知をさらに徹底する。
また、保育士採用向けに似た仕組みがあることや日本版DBSの新設などから、現場が混乱しないような整理や工夫も検討する。
〇一方で、適切に活用していない団体の改善状況は改めて確認しないという。
今後の適切な活用に同意したとして「責任を持って回答を頂いたと思っているので、それを受け止める」と説明する。
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私のコメント
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◇今回の記事を読んで、文科省も無責任なら、学校法人や教育委員会等の教育団体も無責任だと呆れる。
採用する人間の犯罪歴の照合ができるのにしていない、そして、それをする義務があるということを知って守らない、もしくは、知らない。
まず、これが呆れる。まるで他人事の採用だ。民間企業なら、採用担当者は処罰を受けるだろう。
◇そして、管理監督する立場の文科省も、のんきで、無責任だ。
記事の中で「『児童生徒への性暴力の未然防止にデータベースの活用は極めて重要。
結果は遺憾だが、何度も言うことで改善する部分はあると思う。
法律の義務をしっかり果たしてほしい』と話した」
とある通り、願望のレベルで、法律を守ることを期待している。
こんな指示や命令があるだろうか。法律で義務付けられているというのに。
◇そして、愕然としたのは、本当かどうかわからないが(記者の伝聞なので)、
記事の中で「適切に活用していない団体の改善状況は改めて確認しない」とあるところだ。
その理由が、また驚く。
「今後の適切な活用に同意したとして『責任を持って回答を頂いたと思っているので、それを受け止める』と。
何をのんきなことを。無責任だからこそ、DBを活用していなかったのだ。
法律で義務付けされているのに。
この担当者の類推だけで、確認しないとはどういうことか。
DBの活用を徹底したければ、しっかり活用できるまで確認調査を定期的に行い、怠っているところは、指導を入れるべきだ。


