「教員の社会的地位を向上させないと 教員不足は解消しないのではないか!」

教員不足「改善」は16% 文科省調査 
定年引き上げが影響?(朝日新聞7月9日)

〇公立小中高での教員不足の状況を文部科学省が各地の教育委員会にたずねたところ、
今年4月時点の状況が昨年同期と比べて「改善した」と回答したのは16%にとどまったことがわかった。

〇教員人事権がある47都道府県教委と20政令指定市教委、
大阪府から教員人事権を移譲された豊能地区教職員人事協議会の計68機関に、
23年度と24年度の4月の状況を質問した。「改善した」と答えた機関は11(前年度11)、
「同程度」は35(同28)、「悪化した」は22(同29)だった。

〇昨年度から始まった地方公務員の定年引き上げによる影響についても聞いたところ、
想定以上の退職者が出て、教員不足に影響したと回答した教委が多かったという。

〇文科省は9日に教員確保に関しての通知を出し、
対象者の退職意向の確認の仕方や時期の見直しをするよう求めた。
さらに、「改善した」と回答した機関で取り組んでいた教員確保策を紹介。
免許はあっても学校現場にいない「ペーパー教員」の復帰を助ける研修や、
正規教員の新規採用増などを例示した。(山本知佳)

◇かつての日本では、教員の社会的地位は、欧米諸国と比べても高かった。
それが、三十数年前、1990年以降から、公務員の優遇が社会問題化し、
それとともに、学校教員も不適格教員や授業力不足など、
様々な問題が社会問題化して、その社会的地位が地に落ちていった。

◇学校教員にも問題はあったが、その構造自体の問題
(人事権が現場にない、教育委員会がマネジメントを知らない教員等で運営されている、
実質的責任者の不在、民間には開かれてない等々)が、
学校教員の閉鎖的な世界を創り、そこに安穏としてしまった。
そして、完全に時代に取り残されてしまった、そういう面があった。
聖職と言われた教職の地位が、ただの労働者に成り下がってしまった。
そういう教育の世俗化も、教員不足の大きな原因だろう。

◇そして、この教育の世俗化が、教育という仕事の難しさをさらに難しくしてしまった。
親も教員を低く見てしまったからだ。先生の言うことはおかしい!
そういう暗黙の了解が、親の側に蔓延してしまったのだ。
そのような世界で、教員になるのはリスクが大きすぎる。
親の協力のなしには、上手く子どもを導くことが出来ない。
こんな割に合わない仕事はしたくない!
そう思ってもおかしくない状況になってしまったのだ。

◇だから、その打開策は、教員の社会的地位の回復以外にはないと思う。
労働環境の改善以上に、その社会的使命をしっかり伝え、
その社会的使命に応じた待遇改善が必要なのだ。
教育不足解消のための抜本的な改革を望みたい。

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