◇子どもは、親から愛情をもらいたくてもらいたくて仕方がありません。
いや、子どもだけではありません。人間は、他人から愛情をもらいたい動物です。
ですから、他人からの承認(プラスの承認もマイナスの承認も)が、
ベストタイミングであればあるほど、セルフ・エスティームが高くなっていくものです。
◇よく言われているように、親が無条件に子どもに愛情を示し、
子どもを勇気づけていけば、子どもは、安心して成長していくのです。
しかし、親が子どもに過剰な期待を寄せてしまうことから、
今の子どもの状態が認めがたくなって、子どもの悪い点を直そうと
愛情よりも注意や忠告をしすぎて、子どもをスポイルしてしまう場合が多いのです。
◇そうすると、親子関係の悪化を招いてしまうことになります。
愛情の表れとして子どもを指導しようとすればするほど、子どもは愛情欲求を大きくし、
愛情の確認を親の望む行動「以外」の行動で行ってしまうので、
さらに関係が悪化してしまうのです。
◇日本では、愛情表現を頻繁にする文化的風土が希薄なので、
なかなか愛情を直接的に表現することができないものです。
特に、子どもが中学生以上になった親子関係や夫婦関係では、
特にそういう風潮があるのではないでしょうか。
◇ですから、愛情を子どもに示せと言われても、
そんなことは恥ずかしくて出来ないということにもなりかねません。
しかし、愛情は、直接的ではなくても、間接的でも示すことは可能です。
◇たとえば、親が、子どもの心を尊重する態度や子どもに決定を任せて、
サポートしていく態度を取るという行為は、子どもに愛情を示しているということです。
直接的な言葉で愛情を表現しなくても、態度で、愛情は伝わるものです。
◇たとえば、こういう会話の中でも、愛情を伝わると思います。
【会話1】
お母さん:「最近、元気がないみたいだけど」
A君 :「そんなことないよ」
お母さん:「何かお母さん、心配だな。だって、いつもの元気が感じられないけど」
A君 :「そんなことないよ。元気だよ」
お母さん:「それならいいけど。何か心配事でもあるならお母さんに話してほしいな」
A君 :「うん。そういう時はね」
【会話2】
お母さん:「ありがとう!手伝ってくれて」
B君 :「別にいいよ」
お母さん:「お母さん、うれしいな」
B君 :「ちょっと、暇だったからやっただけだよ」
お母さん:「兎に角、お母さんはうれしいのよ。あなたとこうやっていられるのが」
◇子どもに対する感謝の気持ち、子どもを案じる気持ち、
子どもと喜びを共有すること、そういう様々なことが、
子どもに愛情を伝えてくれるものです。
「愛している」という言葉だけが、愛を伝えることではありません。
ですから、気楽に、子どもに愛情を示してほしいのです。
◇親が愛情を子どもに示せば示すほど、子どもは安心して成長していくものです。
そうすれば、子どもの自己重要感(セルフ・エステーム)が高まって、
やる気のある子どもに育っていくことになります。