◇大阪維新が唱える、公立高校と私立高校の自由競争とは何か?
私立高校の無償化は、本当に日本の教育界に良い影響を与えるのか?
◇まず、公立高校と私立高校の競争による、教育の質の向上について考えたい。
今回取り上げた大阪府の公立高校の定員割れの記事だが、
私立高校がなぜ選ばれたのかを考えてみると、
受験生意識として、入試の早期決着を潜在的に望んだということが考えられる。
大阪府のように、私立高校と公立高校の受験の日程差が、大きな要因ではないかと思われる。
約一か月、私立高校の方が、早い入試なのだ。
高校の費用が掛からないなら、早く決まる私立高校で良いという選択があったはずだ。
◇そして、施設の充実の差が考えられる。
公立高校には、高校単体で施設を充実させる力がない。
片や、私立高校は、その資金があるということだ。
教育内容の良さで高校選択をするという次元に達していないのだ。
そして、もし、この愚策(高校の無償化)が続いてしまうなら、
公立高校は、どんどん見捨てられることになるはずだ。
行政として予算がかけられないからだ。
施設の充実も、教育内容の充実もお金がかかるものだ。
公立高校には、その予算についてはどうにもならない側面がある。
手かせ足かせが公立高校にはあるのだ。
これは、自由競争だといえるだろうか。
こんなことも考えられない政府だとすれば、困ったものだ。
◇高校の無償化は、日本の教育にとって、意味があるとは思えない。
教育内容による競争を阻害することになってしまう可能性が非常に大きいからだ。
再考を強く望む。
無償化も影響か 大阪の公立高の半数超が定員割れ
寝屋川、八尾も(朝日新聞3月27日)
〇大阪府教育委員会は27日、全日制などの府内の公立高142校のうち
79校が今春入試で定員割れしたと発表した。
145校中70校が定員割れした昨春入試より増加。
少子化の他、大阪府独自で今年度から始めた
高校授業料の「完全無償化」の影響もあるとみられる。
〇府教委によると、少子化などを踏まえて
今春入試は昨春より約1500人募集を減らしたが、
2月の特別選抜の平均倍率は0.89倍、3月の一般選抜の平均倍率は1.02倍と、
いずれも現行の入試制度になった2016年度以降、最低になった。
難関大への進学実績がある寝屋川や八尾も定員割れした。
一方、今春入試では、府内の私立高を第1志望とする専願率が直近20年で最高の35%を超えた。
〇大阪府内の全日制などの公立高142校のうち79校が今春入試で定員割れした。
145校中70校が定員割れした昨春入試より増加。
人気校とされてきた寝屋川や八尾も1倍を切り、両校は危機感を隠さない。
〇4月で創立130周年を迎える府立八尾高校の山上浩一校長は定員割れについて
「私の知る限りでは初めてのことでショック。重く受け止めている」と話した。
一般選抜の募集人員320人に対し志願者は317人で、倍率は0・99倍だった。
2次選抜で追加募集した3人の枠にも志願者は集まらなかった。(中略)
〇府の条例は、3年連続で定員を満たせず、
その後も改善が見込めない学校を再編整備の対象としており、
今春入試で条例に基づく3年連続定員割れとなった学校が新たに5校増えて22校になった。