◇高校無償化で一番喜んでいるのは、小学生の子どもを持つ高所得世帯だ。
首都圏の中学受験熱は、今年非常に高くなった。
子どもを私立中高一貫校に通わせたい高所得世帯の保護者は、
所得制限の撤廃で、高校3年間は授業料等無償になるのだから、
維新の会が言い出したこの高校無償化案は、喜ばしい限りだろう。

◇しかし、こんな不平等な案があるだろうか。
所得の低い世帯も高い世帯も、高校進学を金銭面で支援するということが、平等な政策だろうか。
所得の低い世帯の子どもたちは、この支援をそのまま字義通りに活用して高校へと進学し、
所得の高い世帯の子どもたちは、この支援を個人的能力拡大のために活用するのだ。
結局、親の所得の再生産を強固にする仕組みではないか。
つまり、経済格差が大きくなっていく政策ではないか。
お金持ちが優位になる政策ではないか。そう思うのだ。

◇そして、公立高校と私立高校への格差がどんどん開く政策ではないか。
国や公共団体は、公立高校の充実にお金を使うべき所を、
個人の裁量に任せる形で、公立高校と私立高校を自由競争のような恰好へと仕向けているだけだ。
子どもたちは、私立高校の充実した設備や、早期で入試が終わる点を良い点だとして、
私立高校を選択していくことになるのではないか。

これでは、自由競争などという綺麗事で偽装した公立高校潰してではないか。
こんな政策は、必要あるのか。所得制限撤廃こそ、撤廃するべきことではないか。