「プロデュース」とは現代では 価値の生産ではなくて、なによ り価値の演出なのである。丸山 真男

◇丸山真男は、かれこれ50年以
上前から、現代の風潮をある種
見抜いていた。あらゆる生産物
が売れるかどうかは、それ自体
の価値ではなく、価値の偽装、
演出、見せ方だと見抜いていた
のだ。価値があるように、演出
することで、売れるというのだ。
モノがない時代は、モノを作る
こと自体が、価値だったが、モ
ノが余ってくれば、コトを想像
することが、価値になるという
ことだ。それは、演出が価値を
生むということだ。

◇今から50年以上前から始ま
った高度経済成長時代は、まさ
に、モノ余り現象を引き起こし、
どのモノもそれほど差がなくな
っていた。そこに、モノを中心
にした生活という物語を想像し、
それをアピールして、モノを売
っていたのだ。例えば、車を直
接アピールするのではなく、車
のある生活をアピールし、それ
が、どのくらい幸せなのかをイ
メージさせたのだ。アメリカの
現代アートは、まさに、その演
出の傑作である。

◇私たちは、知らず知らずのう
ちに、演出に巻き込まれ、物語
の一部と化してしまっている。
ある種の雰囲気に飲み込まれて
いる。それではダメだ。ある種
の雰囲気から抜け出して、自分
の物語を創ることだ。世間の風
潮に丸め込まれないために。

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