先日、中学1年生お子さんをお持ちの、あるお父様から相談を受けました。
「中学1年生なのに、英語の成績が芳しくなく、
これでは、英語嫌いになってしまうのではないかと心配している」とのことでした。
このお父様は、心配するだけでなく、ご自分で時間を見つけては、
簡単な文法や単語を教えているそうです。
しかし、その場では、何とか理解しているようなのですが、
翌朝になったら忘れているとのことでした。
お子さんも同伴されていたので、お子さんに聞きました。
「英語の勉強をどう感じているの?」
「できるようになりたいのですが、なかなかやる気になりません」
との回答でした。
大変、ハキハキと応えてくれる様子から、
能力的な問題ではないことが推測できました。
以下、彼との会話です。
私:「外国の人を普段見かけませんか?」
子:「よく見ます」
私:「その人たちが、日本に来てわからないことを質問するとします。
その時、君がきちんと英語で説明できたら、その人は、どう思いますか?」
子:「感謝してくれると思います」
私:「感謝されたら、君はどんな気持ちになりますか?」
子:「嬉しいです」
私:「嬉しいよね。外国の人も、君も嬉しくなれるために、英語を学ぶんだよ。
外国の人に、いきなり、君がわかるように『日本語で話せ!』というのは酷だよね。
困った時に助けてくれる日本人に接した時に、日本はいいな。
と感じて、日本語を覚えようとするかもしれないけれどね。
だから、まず、君が英語を理解して手助けをしてほしいんだ。」
子:「はい」
私:「それじゃ、ちょっと、簡単な文を使って、英語と日本語の違いを確認してみよう!」
この後、英語が、主語と動詞で組み立てられていること、その理由。
主語によって動詞が変化する英語の特徴。
時制によって動詞が変化すること。その理由。を、30分ほど説明しました。
私:「今、君ができるようになったのは、英語と日本語の違いを理解できたからなんだよ。
英語の特徴がわかれば、君も英語ができるようになるんだ。
英語の特徴を理解することが、英語を勉強するということなんだ。
これができたら、外国の人に喜んでもらえるし、格好いいと思わないかい?」
子:「思います」
私:「だからこそ、単語や英語の癖を覚える必要があるんだよ」
そばで、聞いていたお父さんが、
「なるほど。こんなアプローチがあるんですね。
私が教えている時と全く表情や態度が違っていました」
とおっしゃって、驚いていらっしゃいました。
英語を出来るようにするために、単語や文法を覚えることは大事なことですが、
なぜ英語を勉強しなければならないのかという意味が子どもなりに理解されていなければ、
なかなかやる気になれないものです。
「なんで、勉強しなければならないの?」と子どもに聞かれたら、
皆さんは何と応えますか?どんなアプローチをしますか?
私は、30数年前、とある学校の卒業式でPTA会長が卒業生に送った、
「知恵ある者は、知恵を出せ!知恵なき者は、汗を出せ!
知恵も汗も出せないものは、この場を立ち去れ!」
という有名な訓話を思い出します。
私たちは、人の役に立つために、社会に存在していて、
知恵が出せたり、汗を出せるようになるために、今、勉強する必要があるのです。
それが、できなければ、去る。つまり、社会的に価値がないわけですから・・・
是非、子どもにスッと受け入れられる「意味(目的)」を伝えてみて下さい。
必ず、やる気も、成果も変わってきます。